2020年も終わり2021年を迎えました。
本当はもう少し早く、できれば2020年内にやりたかったんですけども間に合わず……。
気を取り直して2021年下期のお気に入りのアルバムを紹介していこうと思います。
お気に入りアルバム国内盤
国内盤からは10枚を紹介します。
下期は期待していた新譜が多くって、どれもいい感じに期待に応えてくれたので本当に粒ぞろいでしたね。
DEXCORE 「 [METEMPSYCHOSIS.] 」
リリースが決まってからめちゃくちゃ楽しみにしていた作品で、期待を超えてくれた一枚です。
V系ラウドとかV系デスコアだとかそんなくくりを必要としない、世界基準のヘヴィミュージックの最先端です。
叙情的かつプログレッシブなサウンドに機械的な電子音を落とし込んだハイブリットなメタルサウンドに乗せる極悪スクリームと、その真逆を行く美麗といっていいクリーンの突き抜け感と。
DRUGOUT.を初めて聴いたときはめちゃくちゃ衝撃的でしたが、その衝撃がアルバム全体を通して続くような凄まじい一枚です。
Crystal LakeのRyoさんのフューチャリングなんかもあって、シーンとしての注目度はもう間違いないところ。世界基準どころではない、圧倒的最先端です。
SLOTHREAT 「THEMIS」
下半期にDEXCOREと並んで大きく期待を寄せていた一枚。
バンドサウンドはヘヴィかつテクニカル、でも歌メロはメロディアスで複雑な音楽性をキャッチーにまとめ上げています。
今作もスクリームなしのクリーンボーカルのみで、この手のジャンルとしては大きな個性というかこの声質のエモさはめちゃくちゃ強力な武器だと思います。
楽曲の幅広さもやっぱりこのボーカルあってこそというか、ハードな曲からポップな曲までSLOTHREATらしさを決定づけてくれています。
なんというかもう完全にここにしかない音楽を創り上げてしまっているように思います。最先端ではない、ヘヴィミュージックシーンの孤高と言える存在ですね。
東京以外ではほぼライブもやれていなかったと思うので、2021年はぜひとも生で聴きたいところです。
ovEnola 「Left Behind」
個人的に今年の作品の中でもかなり衝撃を受けた一枚です。純度の高いニューメタルコア、この手の音楽らしいダルっとした粘度のある低音や要所に挟み込まれる不協和音がたまんないですよね。
かと思えばエモーショナルに鳴らす部分もあったりと、コアな音楽性ながらすごく聴きやすい。
ANNALYNNやSpiritboxを迎えるなどフューチャリングもやけに豪華ですし、完全に世界基準といっていい一枚だと思います。
日本のヘヴィミュージックシーンの凄さを感じさせてくれます。
BLUE ENCOUNT 「Q.E.D」
ブルエン持ち前のエモーショナルさはかなり満ちているんだけど、なんというかかつてのエモーショナルさとはまた違ってきているというか。
エモはエモでもメジャー感があるというか、聴きやすくいい意味でまとまっているように思います。
アグレッシブさはそれほどでもないですけどエモ感を大事にしつつも新しい方向性が打ち出せていて、しっかりと攻めっ気はありますよね。
個人的には既存曲がアルバムの半分以上を占めるということで不安げではあったんですけども、その分新曲がどれもよくっていい意味で予想を裏切ってくれました。
ファルセットを多めにフューチャーしてたりVOLCANO DANCEの電子音パートなんかは新しい試みですし、このあたりバッドパラドックスあたりから繋がってきているように思います。
日に日にメジャーに染まっているように感じていたブルエンですけども、今作はメジャーに染まったからこその作品だと思うし個人的には支持します。
Given By The Flames 「GRAVEYARD」
前作からまたいい感じにアップデートさせてきたなと思わせられる一枚で、前作はメタルコア的な要素が強かったのが今作はニューメタル的なサウンドメイクに感じます。ただ、このバンドには間違いなくこのほうが合っていると思います。
シンセサウンドがかなり全面にフィーチャーされるようになりましたし、ゴシック・インダストリアル的なサウンドもかなり進歩していますよね。
わかりやすい暴れられるサウンドからは少し離れましたが、このバンドらしい世界観の強さという点では格段に良くなっています。
メンバーの脱退はありましたがこれからもまだまだ期待していきたいバンドですね。
REVIVAL OF THE ERA 「Nephthys」
まさかのV系シーン進出、なんだけども楽曲的にはいい意味で今まで通りで安心します。
クリーンの感じなんかに意識しているような部分もありますけども、スタイルをV系にしたのは良いほうに作用しているのではないでしょうか。
シンフォニックもメタルも元々V系とは親和性が高いものですし、そこを追求していくという点ではたしかに納得できる部分もあるんですよね。なんならメタル的な純度でいえば増しているようにも思います。
Cazquiさんのフューチャリングもバチバチにハマっているし話題性という点でも完璧です。
V系ラウド・メタル界隈をこれからどんどん荒らしてくれそうで期待しかないですね。
MONOEYES 「Between the Black and Gray」
MONOEYESの自分のイメージってもっと爽快感のあるパンキッシュなものだっただけに、今作の落ち着いたエモな仕上がりはかなり驚かされました。
ELLEGARDENの頃からエモ要素のある曲はやってきてはいましたが、そことは明らかに違った大人びたエモ。細美さんの落ち着いたボーカルもまたいつもと違っていて味わい深いです。
いやもうホントに自分の好みど真ん中にぶっ刺さりなんですよね。持ち前の爽快感を損なわずにここまでエモく作り上げることができるなんて、本当にMONOEYESの見る目が変わりました。
個人の勝手な感想ではあるんですけども、ELLEGARDENの復活があってそこを超えてきたからこそ出来上がった一枚なのかなとも思いました。本当にいい作品です。
a crowd of rebellion 「Zealot City」
前作Illがポストハードコアっぽさのあるラウドロック的だったのに対し今作はスクリーモ感が濃く、またGingerolの頃のような遊び心もほどよく合わさっていて。
手術明けでコンディションもすごくいいようで、大作さんのスクリームも情念たっぷりだし亮輔さんのクリーンの突き抜けも凄まじく、このツインボーカルが歌ってるだけでリベリオンの音楽性が成立するのは最大の強みだなと改めて実感します。
無罪者のようなプログレッシブなサウンドにデスコア的なビートダウンの炸裂するSLANDER.、0Dのような遊び心のあるものまで幅広く、でもどの楽曲もちゃんとリベリオンなんですよね。
ネクストレベルに達したなって思わせられる一枚。再録曲もよい出来です。
NOCTURNAL BLOODLUST 「The Wasteland」
ギター隊二人の脱退からもうホントに踏んだり蹴ったりだったノクブラ。細かいところで思うところはあるもののそれは置いておいて、ここにきてやっと新生ノクブラをぶち上げられる一枚が出てきたなと。
派手な打ち込み音は控えめで、バンドサウンドを強く打ち出しているのも現体制の自信の現れなのかなと思います。
エクストリームを掲げていたかつてとは完全に別物といえるものではありますが、メタル的なプログレッシブさからハードコア的な力強さまで幅広く色んな要素を詰め込んだ今のノクブラはヘヴィミュージックとして間違いなくかっこいい。
尋さんのボーカルもやっぱりこれだけ暴れまわってくれると最高です。
ミニアルバムではありますけど配信シングルの3曲も合わせればフルアルバム相当ですし、復活とは違う、新たに誕生したノクブラを決定づけてくれましたね
明日の叙景 「すべてか弱い願い」
ブラックメタルらしいトレモロの冷たさはたしかにあるんだけども、激情系ハードコアに通じる絶叫が楽曲に熱をもたせていてそこがすごく良いんですよね。
ポエトリーリーディングやアート感のある曲展開などもう好きすぎてめちゃくちゃわたしに刺さります。
ポストロック的な要素のエモーショナルなギターサウンドも要所で聴けますし、過去作と比べてもシンプルに聴きやすく仕上がっているように感じますね。
もちろん大衆性のある音楽ではないんですけども、聴いてみたら意外と刺さるぞって人も多いんじゃないかと、そう思えるくらいに良い作品だなと思います。
お気に入りアルバム海外盤
海外盤からは5枚を紹介。割と王道的な選出なように思います。
まぁやっぱりどうしても外せないよなってものもありますよね。
BRING ME THE HORIZON 「Post Human:Survival Horror」
海外ロックで最も話題になったといっていい、BMTHの一枚。
amoやその後の長い名前のEPはあまり刺さらなかったんですが、Ludensなどのシングルは好みだったので期待と不安の混ざったなかだったのですが、蓋を開けてみるともう半端ないくらいヤバい一枚で。
近年は控えめだったスクリームもゴリゴリに入ってきて、ここまで攻撃的になると思ってなかったしいい意味で裏切られました。
フューチャリングもめっちゃ豪華で、個人的にはBABYMETALとEvanescenceのAmy Leeの二組はビビりましたね。
世界のロックシーンを牽引するバンドらしい最先端と、そしてそれだけじゃない確実なかっこよさと。いやもうやっぱり間違いないですねこのバンド。
個人的には今のBMTHのインダストリアル感のある電子音はすごい好きなので、同じことを続けるバンドではないですがこのあたりのセンスは損なわずに進んでいってほしいですね、
GHOSTKID 「GHOSTKID」
ESKIMO CALLBOYを脱退したSushiによる新バンド。エスキモー脱退前の最後のアルバムREHABがベースにあるような一枚で、Sushi脱退後にエスキモーはチャラい路線にリバイバルしているのでこのあたり音楽性が合わなかったんだろうなって想像は容易いわけですが。
電子音をゴリゴリに盛り込んだモダンなメタルサウンドはBMTHに通じるところがありますが、印象的にはもっとコアなところを攻めた感じですね。やっぱりこのインダストリアル感がめっちゃ好きなんですよね。
エスキモーのHypaなんかも自分の周りでは割と評判良かったですし個人的にも嫌いじゃないですけど、こっちの路線のほうが断然支持できますね。まぁもはや比べるべくものでもないですけども。
FIT FOR A KING 「THE PATH」
重心の低いグルーブの強いヘヴィサウンドはそのままに、コテコテな泣きのギターが増えてきたりといいところは保ちつつメタルコアというよりも正統派メタルに近づいてきているように感じます。
一方でニューメタル的要素の取り入れ方など、貪欲ではあるんですけどもちょっととっ散らかっちゃってるように感じる部分も。
でもかっこいいことは間違いなくって、Breaking the Mirrorの圧倒的キラーチューンといったら。
良い作品ながら、まだまだいけるんじゃないのかとも思わせてくれる一枚かなと思います。
GHOSTMANE 「ANTI-ICON」
トラップメタルを牽引するラッパーの新作。トラップメタルといっても色んなスタイルがあるわけですが、トラップをベースにメタル要素を入れ込んだタイプはあまり好みではないんですが今作はメタル要素もかなり強く個人的な好みをいい感じに刺してくれました。
インダストリアル的なサウンドが自分の好みをめっちゃくすぐってくれるわけなんですけども、ラッパーというスタイルながらすごくマンソンに重なる部分があるんですよね。こいつどんだけインダストリアル好きなんだよって感じですけど。
いまいちなかなか自分に刺さるものと出会えてなかったトラップメタルにおいて、ここにきてやっと素晴らしい一枚と出会えたなって思わせられる一枚でした。
WITHIN DESTRUCTION 「YOKAI」
日本大好きなスロベキアのバンドWDの新作。タイトルもそのまんま妖怪。笑
鬼滅の刃の音声のサンプリングをぶち込んだりMVの映像にもそのまんま使ったりとちょっと危なげな部分で話題にもなったりしたわけですが。
サウンド的には従来のものよりもオーバーグラウンドを目指しているように感じるもので、デスコア的な部分が一切なくなったわけではないですがエモ寄りな雰囲気なんかもあって。
トラップ要素の導入なんかも賛否両論だったようにも思うんですが、デスコアだけやってるアルバムって通して聴くとどうしても単調に感じてダルいので変化を付ける意味でも色んな要素を入れてくれるのは個人的には全然いいです。
日本語ラップのフューチャリングも斬新でいいですし、最近のCrossfaithなんかと重なる部分でもありますよね。今作は割と日本のラウドキッズなんかにウケそうな気がします。
2020年のリリース総括
2020年はコロナ禍の影響ということでなかなかライブに行くことができなかった分、聴く音楽の幅は広げられたのかなと思います。
ただ、主に国内バンドですがフェスなどのライブを通して新しいバンドを知るということがほぼなかったので、そこは少し寂しいところでしたね。
少しづつライブは開催されてきてはいますがまだまだ厳しい状況が続きそうですし、音楽を思いっきり楽しめるようになるのはもう少し先になりそうです。
我慢するというのも限度がありますけどね、数少ないライブや新譜のリリースを楽しみに頑張っていかないといけないなと思います。
2021年もいい音楽に出会えますように、以上2020年下期のお気に入りのアルバム15選を紹介します!でしたー。それではまたー。