2022年の上半期が終わってしまいました、早い、早いよ。
今年は1月からめちゃくちゃ良作が多くてなんか2月時点で今年の9枚ぐらい挙げれそうだなって感じだったんですけど、半年経ってもやっぱり良作多かったな-ってなっています。
ということで恒例のお気に入りアルバムの紹介をしていきたいと思います。
ざっくり定義ですが、基本的にはサブスクリリース中心に、ミニアルバムもEPもなんならシングルも含めます。
ただし一曲だけのシングルは外しています。といいつつ今回シングル作品は選んでないですけども。
そんな感じでやっていきましょう。
2020年上期のお気に入りのアルバム20選を紹介します!
2020年下期のお気に入りのアルバム15選を紹介します!
2021年上期のお気に入りのアルバム15選を紹介します!
2022年下期のお気に入りのアルバム15選を紹介します!
- お気に入りアルバム国内盤20選
- ヒステリックパニック 「死亡遊戯」
- SUPER BEAVER 「東京」
- 緑黄色社会 「ACTOR」
- ハルカミライ 「ニューマニア」
- くだらない1日 「rebound」
- Sabel Hills 「DUALITY」
- Earthists. 「Have a Good Cult」
- The Cards I Play 「Retrograde」
- DIR EN GREY 「PHALARIS」
- アルルカン「MONSTER」
- NOCTERMAL BLOODLUST 「ARGOS」
- XANVALA 「月と太陽」
- 摩天楼オペラ 「真実を知っていく物語」
- Unlucky Morpheus 「evolution」
- FEST VAINQUEUR 「GLARE」
- –真天地開闢集団–ジグザグ 「慈愚挫愚 参 -夢幻-」
- 健康「健音 #1 -未来-」
- Imperial Circus Dead Decadence 「殯——死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える——。」
- THE SPELLBOUND 「」
- ジャニーズWEST 「Mixed Juice」
- お気に入りアルバム海外盤
- まとめ
お気に入りアルバム国内盤20選
まずは国内盤からです。合計20枚やっていきましょう。
ヒステリックパニック 「死亡遊戯」
名古屋の「エクストリームJ-POP」を掲げるヒステリックパニックの現体制になってから初のミニアルバムですね、2022年リリースの音源で最初に聴いたのもこれでした。
ラウドかつ軽快にネットミームを扱った絶対殺すマンやあふれるポップセンスと振り付けがキュートなうぉー あい にーなど、エクストリームな要素は残しつつも全体的にポップに仕上げられているように感じます。
フェス受けだったりとかMVのバズり性能だとか高そうに感じるのでもう少し話題になってもいいのになと少し残念に思います。
ラスト夜韻はこれもヒスパニらしさのある病んだ雰囲気がありつつも歌詞はポジティブ寄りなのが今のヒスパニのモードなのかなと感じます。
個人的に前作のStiLLがめちゃくちゃぶっ刺さっていたので、今作でもヘヴィなトラップメタル的な曲がほしかったですね。
ミクスチャー的な曲で言えば飛ぶぞがそうなんでしょうが、毛色が違いますしね。
多少の物足りなさを感じるものの、新年一発目から気持ちのいい一枚が聴けたかなと思います。
SUPER BEAVER 「東京」
アルバムタイトル通りの東京発のジャパニーズポップミュージックを標榜するSUPER BEAVERのメジャー再デビュー後の2枚目のフルアルバムとなります。
前作から丸一年ぶりというリリースペースの早さにも関わらず落ちないクオリティからその勢いや脂の乗っているバンドの状態の良さが伺えます。
基本的な方向性は変わらないのもビーバーらしさというか、余計な心配なく安心して聴くことができます。
ビーバーの真骨頂であるコーラスワークの冴えるスペシャルやその極みとも言える東京はその哀愁の深さがめちゃくちゃ染みます。
リズミカルに身体を揺らせるふらりやストレートすぎる直球ど真ん中に愛を歌う愛しい人、かつてないほどにポップで甘めなそれっぽいふたりなどシンプルながら多彩なアプローチを見せてくれます。
VS.はロックバンドであることを示すような歪んだギターと重たいベースが響くライブでの盛り上がりが間違いないスリリングなギターソロまで聴けるし、ジャジーな雰囲気の漂う318、飾らないにも程がある応援ソングのロマンに前作のさよなら絶望を思い出させるエンディングソングの最前線での締めと、間違いのない充実した1枚になっています。
緑黄色社会 「ACTOR」
名古屋発のキャッチーなロックを奏でる緑黄色社会の3枚目のフルアルバムです。
テレビの画面でも観ることが増え、ロックにとどまらずに邦楽シーン全体での存在感を増しているリョクシャカですが今作も今のバンドの仕上がりを感じられる作品になっています。
リードトラックとして先行で披露されたキャラクターはリョクシャカのこれまでの曲の中でもとりわけキャッチーな1曲で真っ直ぐなポジティブさを感じられ、merry-go-roundはキーボードの音色と細やかなギターフレーズやソロが光る、リョクシャカがあくまでバンドだってことを示すようなプレイを見せてくれます。
どことなくAliceのような雰囲気のリズミカルな鍵盤と柔らかいギターの音が心地よい安心してねは心が安らぎますし、ドライブ感のあるS.T.U.Dはリョクシャカのロックど真ん中で個人的にアルバムでも随一の推し曲ですね。ギターの壱誓さんのボーカルが入る曲めっちゃ好きなんですよね。
シングルとしてリリースされたLITMUS、結晶のバラードは長屋さんの声の力強さを堪能できますし、ファンキーなホーンが特徴的なたとえたとえは透き通るポップさがとても気持ちいいです。
既発のシングル曲の多さもアルバム曲のクオリティの高さもあって気にならないほどで、全編シングルとして出せるような充実ぶりです。
あまり賛同は得られないとは思いますが、リョクシャカのサウンドってポップなのはもちろんですがどことなくDream Theaterに通ずる部分があるなと思っていて、そのうえでパワフルなハイトーンボーカルはもう完全にメタルなんですよね。
メジャーシーンでの戦い方やリョクシャカというバンドの魅せ方をしっかりと打ち出してくれている、今のバンドの人気がただ一過性のブームでは終わらないだろうことを確信させてくれる勝負の1枚として素晴らしい出来だと思います。
ハルカミライ 「ニューマニア」
東京八王子発、ハルカミライの3rdフルアルバムです。
最近のその勢いは凄まじく、フェスなどでライブを観る機会もかなり増えました。
その破天荒なライブパフォーマンスがフィーチャーされがちですが、じっくり聴けばその歌唱力の高さなどバンドとしての実力も十分なものがあります。
だからこそつばさのような曲はすごく聴かせる力があるし、切なげなアルペジオと合わさって感情を揺さぶってきます。
フルアイビールのようなファストナンバーも、ただ勢いだけでなくしっかりと届くし聴かせてきます。
青春讃歌のようなミドルテンポの曲もしっかりと歌い上げられるし、畳み掛けるようなハッシャダイの丘からTo Bring BACK MEMORIESのショートチューン連発は凝縮されたハルカミライが詰まっています。
全体的に垢抜けたというか、表現の幅の広がりやスケール感など確実にバンドとしてデカくなっているなと感じます。
ただパンクバンドとしての勢いだけでなく、こなしてきた現場のレベルだとかそういったものをしっかりと糧にしてどんどん大きくなっていく姿は、このままどこまでいくんだろうなとまだまだ楽しみになってしまいます。
くだらない1日 「rebound」
福岡発、東京を拠点とする激情系エモバンドの現体制初のアルバムです。
このあたりの国内エモシーンは正直疎いのですが、くだらない1日を知ったのは以前Graupelとのツーマンで名前を見たのがきっかけでそこから気になりそして今作です。
アルバムは既発曲のリメイク作なども含めた、実質的なベストアルバムのような内容になっています。
“エモ”すぎるギターから憂いのあるシャウトとともに疾走するやるせない、初期9mm parabellum bulletを彷彿とさせるような轟音のレッドアイズオルタナティブブラックドラゴンは既発曲のレッドアイズブラックドラゴンの別バージョンとしてのオルタナティブと遊戯王カードの実在するモンスターの名前をかけたユーモア溢れるネーミングもグッド。
激情たっぷりの曲だけでなく、力水のようなポップパンク風味な曲から叙情的なメロディとラップの噛み合いが気持ちいいやすらかやミドルテンポだからこそ感情が突き刺さってくるような激情部などなど、全編通して様々なエモーショナルを体感できます。
ところどころでオマージュやリスペクトを感じさせる作風は、楽曲タイトルから感じられるコミックバンド的な雰囲気を一気に消し去ってくれますね。
今まであまり自分の交わらなかったシーンなので未だライブは観られていないのですが、明らかにバンドからの勢いを感じますし近いうちに観る機会はありそうだなと思いますし、このアルバムを聞いてそれは間違いないなと確信できますね。
Sabel Hills 「DUALITY」
東京発メロディックメタルコアバンドの2ndフルです。
世界最大級のメタルフェスW.O.Aから各地の海外フェスへの出演にDARKEST HOURのヘッドラインライブへのゲスト出演など、ここ最近の躍進が目覚ましい彼ら。今作でもとにかくその勢いが伺えます。
全体的にとにかく音が良くなったなという印象と、メロディやスクリームにもはや完全に名札がついていますよね。音を聴いただけでSable Hillsってわかってしまうくらいにユニークなサウンドに仕上がっています。
スクリームの力強さや表現力もさらに高まり、世界的にみても屈指のボーカルと言ってもいいんじゃないでしょうか。
一発目から泣きのメロディが詰まったThe ENvy、扇風機ヘドバンの「演舞」が話題になったBringer
メロハー風なリフとリードを奏で続けるギターなどシンプルにメタル三昧なOn My Own、BIRTH EPにも収録されていたCrisisはラストの男臭いコーラスとバカデカブレイクダウンが相変わらずに強烈、ドカドカとバスドラがぶっこんでくるイントロから激烈でクリーン入りのサビやギターソロからのブレイクダウンなどSableHilssがこれでもかと詰まったSnake InThe Grass、そしてinterludeを挟んでバカでかスケールの叙情たっぷりのメタル王国The Eternalなど、メタルの熱い部分がこれでもかと詰め込まれています。
単純にメロディックメタルコアと言っても、2000年代のあの頃のメタルコアではない、かと言って現代的なチャラいものでもない、正真正銘のSable Hilssならではのメロディックメタルコアが前編にわたって及んでいます。
最高に鉄臭い一枚がまた出てきたなというところでちょっと素晴らしすぎますね。
Earthists. 「Have a Good Cult」
東京発モダンプログレメタルバンドのEarthists.の4年ぶりリリースの3rdフルアルバムです。フィジカル盤ではボーナストラックが3曲収録されています。
満を持しての今作はメタルのフィールドにとどまらない、流麗なアート感あるとにかく美しくめちゃくちゃかっこいい1枚に仕上がっています。
Yours、Lost Graceとどちらも鍵盤の音がフィーチャーされた曲で、特にLost Graceは跳ねるようなリズム感とサビのハイピッチなメロディがたまらなく気持ちいいです。
Earthists.の強力な武器の一つであるクリーン混じりのスクリームも相変わらず印象強く、メロディアスかつ力強いボーカルを聴かせてくれます。
GraupelのSotaさん、Sable HillsのTakuyaさん、そしてPromptsのPKさんの参加したアベンジャー的大集合なSkywalkerは各々のスクリームが刺激的なのはもちろん、クリーンを歌うPKさんを聴ける貴重な1曲でもあります。
BIRTH EPにも収録されていたOVERVISIONもインスト曲KAZEが曲の前に置かれたことでさらにビッグスケールな曲に化けてくれました。
今までは海外レーベルTragicHeroRecordsと契約していたこともありあまり国内に目を向けてはいなかったように感じたEarthists.ですが、今作では国内のラウド、メタル好きにもめちゃくちゃ刺さりそうな作品に仕上がっていると思います。かといってドメスティックでもない、十分に世界で通用するクオリティだと思います。
Sable Hillsと並んでこれから活躍していってくれないと困るバンドですし、この作品をきっかけにもっとブレイクしていってほしいなと思えますね。
The Cards I Play 「Retrograde」
東京発モダンロックバンドの1stアルバムです。活動し始めてから割と早い段階から曲は聴いていてすごく好みのバンドだったこともあり待望のフルレングスです。
モダンメタルコアの濃いエッセンスに日本のラウドロックが組み合わさったハイクオリティな1枚に仕上がっています。
ビッグスケールなストリングスをバックに激情あふれるスクリームとギターの刻みにバカでかコーラスにラップまで組み込んだ初っ端からもりだくさんなタイトル通り黄金世代を感じさせるGolden Age、80年代ハードロックのような雰囲気をまといつつもしっかりとモダンにまとめ上げたRunはサビのバックのギラーがツボすぎます。
再始動1発目の曲としてシングルリリースもされたMaking Historyはまさにモダンロックそのものなサウンドプロダクションの完成度の高さ、アンドのバックグラウンドを感じさせる多国籍なメロディを感じさせるBreak Me Dwon、Making Historyに次ぐシングルとしてリリースされたTake my Handは個人的にぶっ刺さりの1曲で疾走するバースから叫びたくなるコーラスを重ねたサビへのなだれ込みとエッジの効いたブレイクダウンと気持ちいいところしかないイチオシの曲です。
Wherever you areやSometimesといったバラードの存在やラストのShades of Grayの力強く壮大なミドルテンポの楽曲など、アグレッションを保ちつつも楽興のバリエーションの広さもありバンドの持てる今をすべて注ぎ込んだような圧巻の作品です。
正直こんなハイレベルのバンドが売れないのはちょっと日本のシーンやばいと思うので、サクッと上に出ていっちゃってほしいなと思います。
DIR EN GREY 「PHALARIS」
カテゴライズ不要かつ不能なロックバンドDIR EN GREYの通算11作めのアルバムで前作The Insulated Worldから約4年ぶりのリリースということでもうそんなに経ってたのという驚きです。
作品ごとにその方向性がガラッと変わるディルですが、前作のシンプルなハードコア路線からまた変わり、過多な装飾や肉付けのしっかりとした楽曲が揃っています。
かつてのVINUSHKAを思わせるような序盤からの長尺ナンバーSchadenfreudeは、エクストリームな要素はもちろんありますがどちらかというとメロディが強い曲に感じます。3分ぐらいからの湿っぽさのあるギターソロが個人的にこの曲のお気に入り箇所ですね。
ラストのカムイもまた長尺のバラードで、もともと異なった曲を組み合わせたことで誕生したという曲ですがそこに違和感はなく、重苦しさを持ったままアルバムを締めくくります。
2つの長編曲はどうしてもある作品全体のイメージに大きく影響しますが、そこに挟まれた楽曲たちも重たく暗くありながらも強い存在感を示します。
シングルとしてリリースされた朧は2曲目に置くにしては店舗がゆったりすぎではとトラックリストを見たときは思ったものの、実際に聞くとなるとたしかにここ以外には考えられないとなる、Schadenfreudeに続く湿度の高いバラードとしてハマりにハマっています。
初期のヴィジュアル系色の強かった頃によく聴いていたようなハイテンポなブラストから始まるThe Perfume of Sinsはわかりやすく激しく、続く13は京さんの叫ぶようなハイピッチのクリーンが聴けるメロディアスな1曲で、ボーカルに負けじとメロディを奏でるギターも印象的です。
今まであまりDIR EN GREYにおいては個別のギターフレーズの良さなどはあまり印象に残ることが少なかったのですが、今作はそういった部分も耳に残りやすく一つの個性になっていると感じます。
初のデジタルリリースとして配信された落ちたことのある空はシンプルかつハードにまとめられており、どちらかというと前作の延長線上にある曲に感じますがアルバムのこの位置に置かれると良いアクセントになっています。
同様にハードなEddieも後半にあることで締まるというか、要所に攻撃的な曲を配置することで効果的にインパクトを与えてくれています。
DIR EN GREYは前述した通り作品ごとに方向性が大きく変わるため、何度か聴かないとなかなか全体像がつかめないのが常ですが、本作はDIR EN GREY的当社比ではあるものの聴きやすい作品に仕上がっており、その作品の輪郭を掴みやすいように感じました。
長いキャリアを超えてもまだまだ衰えないクリエイティビティを感じさせるDIR EN GREYはさすがだなと思えますし、期待を裏切らないどころかそれ以上のものを提示してくれるなんだかんだで強いバンドだなと思い知ります。
アルルカン「MONSTER」
「次世代名古屋系」をかつて掲げて活動していたヴィジュアル系バンドアルルカンの4thアルバムです。
前作The laughing manからラウドな要素を減らしシーンの外を見据えた方向性にシフトしていたように感じましたが、今作でその方向性は固まったように思います。
もともとアルルカンは邦ロックやラウド、海外シーンのトレンドを取り入れた、良いとこ取りで作品を作る巧みさ、悪く言えば流行に合わせていた感がありました。
それが今作にも収録されているシングルとしてりリースされたサイレンと世界の終わりと夜明け間からそうでしたが、V系シーンで培ったアルルカンらしさは残しつつもエモ的要素を強めストレートにロックを突き詰めた音楽性はアルルカンの個性として確立されましたね。
一曲目のMONSTERからその力強さを感じますし、湿っぽさのあるエモ系なリフの光るわかれうたやQUEENを彷彿とさせるアンセミックな旗のもとへなど、シーンを超えて戦える楽曲が揃ってきたなと思います。
最近ではV系シーンの外でのイベントも増えてきていますし、7月に予定されているPaleduskとのツーマンはさすがに今後の日本のロックシーンにおいても非常に大事なイベントになるのではと思います。
NOCTERMAL BLOODLUST 「ARGOS」
かつてはV系デスコアバンドのパイオニアとして登場し今ではもはやそこには留まってはいない、NOCTERMAL BLOODLUSTの現体制1枚目となるフルアルバムです。
一昨年リリースのミニアルバムで新たに生まれ変わった姿を見せられたことでバンドの状態や作品のクオリティには一切の不安はなかったのですが、こうやって実際に聴いてみると本当に間違いないなと思わせられます。
モダンさのある強烈なグルーブとプログレチックなギターフレーズの組み合わせと強烈なブレイクダウンで一発目からゴリゴリに攻め立てるRed Soil、エモーショナルな爆走のイントロからヘヴィに落とし込みながらのフューチャリングが光るサビがウルトラキャッチーなstraight to the sky、これぞノクブラな極悪なヘヴィさと暴虐かつ多彩なスクリームで暴れまくるデスコアナンバーDagger、PromptsのPKさんをフューチャリングしたシンフォニックなウルトラダークなCremationなど、幅広く充実した楽曲が揃います。
シングル曲は前作のThe Wastelandに入らなかったので今作にも入らないのかなと思っていたのですが、インダストリアル要素のあるバウンシーなBow Downと機械的なヘヴィさのONLY HUMANの並びやラストのTHE ONE、Reviverの溢れる叙情性など、たしかに収録させるに足る理由を感じられます。
今の体制に辿り着くまでに紆余曲折ありましたし、かつてとは音楽性でも異なる部分は多いものの、1枚のアルバムの中で様々な楽曲を取り揃えているのは間違いないノクブラらしさですし、海外のバンドがあまりやらないアプローチであるといえます。
実力的に世界レベルであることは疑いないですし、ノクブラが燻っていることは日本どころか世界のヘヴィミュージックシーンにとっての大きな損失だと思うのでここからまた壁をぶち破っていってほしいですね。
XANVALA 「月と太陽」
2020年始動のヴィジュアル系バンドでまだ若いバンドながら、メンバーはいくつものバンドを経験してきているだけあり楽曲のクオリティは相当なものがあります。
サウンドがヘヴィなのはもちろん、メタリックな細かいギターフレーズやモダンなエレクトロなどの要素をキャッチーにまとめ上げた、確かな実力を感じさせられます。
メタリックにかき鳴らしたかと思えばシンセのような音色も聴かせてくれる変幻自在のギターワークと思わず拳を突き上げそうなメロディアスなサビと流麗なアルペジオからヘヴィなブレイクダウンまで味あわせてくれる情報過多なラウドロック然としたデスパレートは間違いないキラーチューンです。
デジタリックなサウンドとヘヴィネスが混ざり合うBamby、スクリームマシマシな攻撃的で頭ぶん回せそうなジャノメ、SE曲のIBADAHから繋がる聖戦はシンセとメタリックなギターがスケールをデカくするギターソロまで装備したこのアルバムの中核とも言える曲だと思います。
テクニカルなギターフレーズやディレイがたまらなく気持ちのいいキネマにアンセミックなALIVEはライブでの一体感を演出するのに間違いなさそうな1曲だし、ラストのSCALAはポジティブな力に満ちたギターメロやリズミカルな4つ打ちのノリやすいサビを持ったこのアルバムのエンディングに相応しいものです。
とにかくどの曲もハイクオリティながらV系の枠を外れているわけでもなく、しっかりと聴きやすくまとまっているのがすごく好印象です。
メタルな要素をしっかりと持ったラウドロックといった装いで、ボーカルのクセも少なくV系の外のラウド好きとかにも間違いなく響くサウンドだと思いますしぜひそのあたりにまで届いてほしいなと思います。
摩天楼オペラ 「真実を知っていく物語」
摩天楼オペラの新Gt、平賀さんこと優介さんが加入してからの最初のフルアルアバムです。
サポートメンバーとしての貢献はもちろん、Arise in Stabilityの頃から好きだったギタリストでもあるので、その平賀さんが加入したとなれば摩天楼オペラに対する期待も増すというものです。
個人的にはChronosの路線はすごく刺さってはいたのですが、メンバーの変遷などもあり今作ではコアな方面には振れずに摩天楼オペラらしいメロディックスピードメタルを追求した1枚となっています。
キーボードとクワイアを乗せてドラマティックに一発目から疾走するメロスピナンバーの真っ白な闇がすべてを塗り替えても、ダンサブルなビート感とシンセが変則的な赤い糸は隠したまま、プログレッシブなギターリフや憂いをたっぷり含んだメロディが哀愁深い、ことV系シーンにおいては名曲の代名詞と言ってもいい桜、インスト曲の黒い海から壮大なスケールで疾走する終わらぬ涙の海で、ラストの儚く消える愛の讃歌、真実を知っていく物語まで美しさを抱いた疾走で突き抜けていきます。
前作Human Dignityはテクニカルかつバラエティに富んだ作品でしたが、今作は頭から爪先まで摩天楼オペラらしいメロスピに満ち溢れています。
変化球でもしっかりと形にする力量のあるバンドなのは間違いありませんが、本来の持ち味を活かせばこれだけの作品が作れるんだということを改めて見せつけられましたね。
Unlucky Morpheus 「evolution」
東方Projectのメタルアレンジとして有名な、Unlucky Morpheusの2020年リリースのUnfinished以来となるオリジナル作品です。
前作がスクリームがふんだんに入ったエクストリームな作風ながらあんきもらしさは十分に感じられたものの、今作では対象的にFukiさんのパートが大半を占めるこれぞあんきもなメロディックスピードメタルとしての要素の強い1枚になっています。
こういうのでいいんだよこういうのでと言った声がどこからともなく聞こえてきそうな、クワイアやストリングスが惜しみなく入った疾走メロスピナンバーの”M”Anthem、アニソン感全開のキャッチーなアマリリス、和楽器も取り入れた和音階を感じさせるメタルとかこれもみんな絶対好きなやつでしょな誰が為に、インストWer ist Faust?から始まるストリングスのフューチャーされたThe Black Death Mansuon Murders、そして完全に徹頭徹尾全方位アニソンメタルな”M”Revolutionと、メタルヲタクの弱いところをガシガシくすぐってくれる楽曲が目白押しです。
メタル好きの根源にあるものって結局これなんでしょ?って言われているような、間違いないものが詰まりに詰まった至高のメタルアルバムだと思っています。
FEST VAINQUEUR 「GLARE」
正統派メタルを貫くヴィジュアル系バンドFEST VAINQUEURの新曲と過去曲のリミックスを収録したアルバムです。
近年はヴィジュアル系も激しいバンドと言えばメタルコアやラウドな要素が中心な中で、しっかりと正統派なメタルを鳴らしてくれているのがこのフェストです。
事務所との係争もありここ最近はあまり穏やかではありませんでしたが、こうやって新たな作品を届けてくれて嬉しい限りです。
高速ギターリフから始まるヴィーナスブラッドベゼルはさらにヘヴィな刻みやピッキングハーモニクスなどもう初っ端からメタルにまみれます。
スクリームでの煽情性の高いJUDGEMENTはモダンな要素を取り入れつつもギターソロはプログレッシブで聴き応え十分。
リミックス曲では、メタル要素はしっかりと入りつつもメジャー感あふれるポップなSTELLAはV系らしい綺羅びやかさに溢れてただテクニックがあるだけではないことを見せつけてくれますし、ラストの現代的疑惑都市”DOUBT!”はソリッドなリフからギターソロまで細かく弾き倒しベースはスラップを聴かせ、サビではツーバスが疾走する見どころ満載具合の欲張り盛り合わせです。
実力はあれどマニアックになりすぎないというか、決してコアになりすぎないV系らしいメタルを大事にしているのが本当に素晴らしいです。
メンバーがプロデュースで関わったこともあるなどJanne Da Arcの後継者として個人的に最も推しているバンドなので、トラブルにも負けじとここからカチ上げていってほしいですね。
–真天地開闢集団–ジグザグ 「慈愚挫愚 参 -夢幻-」
昨今のヴィジュアル系界隈ではなかなか見ないレベルでその規模を拡大している、メトロックやロッキンなど垣根を超えたイベントへの出演も増えてきた–真天地開闢集団–ジグザグの第三完全音源集こと3枚目のフルアルバムです。
間違いのない現在絶賛売れっ子バンドなこともありサウンドはかなりメジャー感が出てきていますが、聴かせるミドルテンポのAriaはその歌唱力の高さもありむしろ本領発揮といったところにも思えます。
キラキラポップソングならラスデイ ラバーもしっかりとメルヘンに歌いこなし、壮大なサウンドスケープの昴は厳かに歌い上げる表現力の幅広さ。和のテイストの強いサウンドは個人的にもしっかりとツボに刺さっています。
ただ落ち着いてしまったというわけでもなく、アグレッシブに疾走する死神のような曲も健在で、requiemもグルーヴの強い低音やブレイクダウン、ハイレベルなスクリームなどラウドなサウンドもこなせる演奏のタイトさも見せつけてくれてバンドとしてのレベルの高さも感じます。
和の雰囲気をコミカルにまとったいいこいいこしてはジグザグのコミックバンド的な側面をわかりやすく映してくれているし、ちょっとメンヘラ感が入っているのもアクセントです。
ビッグスケールで駆ける燦然世界は4文字熟語念仏パートも完備し、バウンシーなサビで無重力時代へ連れていってくれるブチ上げキラーチューンで、ラストは無気力がすぎるナニモシタクナイで締まったんだか締まってないんだかよくわからないエンディングを迎えます。
もう単純にバンドのレベルが高くて、どういった方向性でアルバムを作ろうが確実に素晴らしい出来になってしまうような、乗りに乗っているバンドの状態の良さしか感じられません。
こういったコミカルな要素を持ったバンドが受け入れられやすいのはまぁ理解できますが、ゴールデンボンバーのように振り切れていない限りはそれもやっぱり実力があってこそだなぁって改めて思いますね。
健康「健音 #1 -未来-」
真空ホロウの松本明人さんとlynch.の悠介さんによるロックユニット健康の1stアルバムです。
わたしにとってはやはり悠介さんのサイドプロジェクトという印象の強いのですが、lynch.の頃とは間逆な白いイメージを感じさせるまた違った一面が観られるなとすごく楽しみなプロジェクトでした。
実在する映画のストーリーをベースに複数のインストを挟み込むなどアルバム全編を通して1作の映画のようなコンセプトで作り上げられています。
インストを終えての1曲目の水槽から音数の多いやや鬱々とした雰囲気で個人的にはもっとポップなものが出てくるのではと思っていたので予想外なものが出てきたなと思わせられました。
ただ常に薄暗い雰囲気なわけでもなく、ポストロック的なアプローチを感じられる理由はサビでのアルペジオが光を感じさせますし、続く合図では逆に光を求めて手を伸ばしているようです。
全体的に音数が多くエレクトロな雰囲気が強いのですが針金のようなギターがしっかりと目立ってくるような曲もあり、ファンが求めているだろう悠介さんもしっかりと聴き取れます。
そしてラストを締めくくる未来は映画のエンディングそのもので、ダンサブルなビートでアルバムを締めくくってくれます。
リリース前のイメージではもっと明るい作品が出てくると思っていたので、ダークな部分を含んだこの世界観の造り込みはいい意味で予想外でした。
lynch.の活動が恋しくもあるんですが、ここまで方向性が違う作品が出てくるとこれはこれでその先を見ていきたいなと思ってしまいますね。
Imperial Circus Dead Decadence 「殯——死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える——。」
今年のメタル、ラウド、ヘヴィミュージック界隈では絶対に外してはいけない1枚だと思います、Imperial Circus Dead Decadenceの3rdアルバムです。
際限なく詰め込まれた音の濁流や様々なオマージュ要素など、わたしの言葉では語り尽くせないことがわかっていてもなおここに挙げないわけにはいかない強烈すぎる作品です。
1曲目の禊祓の神産は宣い、禍祓の贖罪は誓う。から大仰なクワイアやオーケストレーションと激走のエクストリームなメタルサウンドが組み合わさりながらもサビのメロディは水樹奈々が歌っても違和感なさそうなアニソンど真ん中のハイキャッチーなメロディアスさ。
アニソンとメタルの親和性の高さはANIMETALなどを例に挙げるまでもなくもはや通説ではありますが、ラストの曲天聲ではデスボイスの吐ける声優の小岩井ことりさんが参加しているのはもはやそういうことですよね。
ヘヴィな刻みからメロディックなギターリフへのメタル黄金リレーを繋いでくれる嚮導BRING+瞳EYES=死DEATH+齎INVITEは個人的なアルバム最オシ曲で何度も聴けてしまうのどごしの良さがあります。
そして我々世代のV系好きとしては見逃せない、某豚イスド直球オマージュの分裂した道化と≒発狂の修道女のように、楽興の素晴らしさだけでなく様々な角度から楽しめる奥深さは本当に語っても語りきれないほどです。
暴れまくるギターやスクリームのバリエーションやその破壊力、そして90年代V系を思わせる湿っぽさなどハイレベルな上に自分のこのストライクゾーンど真ん中に糸を引くストレートを投げ込んできます。
ハイカロリーなのにサラッと飲み干せてしまう、アルバム1枚で1時間をゆうに超える長尺さは短い曲でバズを狙う昨今の潮流とは真逆をいく潔さで、メタルを突き詰めるならこうでなくってはと両手を叩きたくなります。
THE SPELLBOUND 「」
BOOM BOOM SATELLITESの中野 雅之さんがTHE NOVEMBERSの小林裕介さんを迎えて結成したロックユニットの1stアルバムです。
個人的な捉え方としてはノベンバの小林さんのサイドプロジェクトというところなのですが、はじまりを聴いたときに完全にそのイメージで固まってしまいましたね。
エレクトロ感の強いサウンドながら、小林さんの声の良さとかボーカリストとしての存在感がすごいんですよね。
MUSICのように声にエフェクトをかけてバックの電子音と同じように声も含めてサウンドに落とし込んだようなテイストにされても、それでもしっかりあくまで音でなく声が届いてきます。
かといってサウンド自体もすごく心地よく仕上がっていて、君と僕のメロディではゆったりとした空間系のサウンドが声と合わさって気持ち良すぎる浮遊感を味あわせてくれますし、sayonaraやなにもかもではポストロック的なサウンドスケープも随所に感じます。
ラストおやすみまで実験的な要素をいくつも感じつつも、決して難解さが前に出てくるわけでもなくたしかなキャッチーさがあるのは、やはり小林さんの声があってこそなんじゃないかなと思ってしまうんですよね。
最近のノベンバはとにかく深くなっていく一方で、こういった違う一面が見られるプロジェクトを並行して動かしてくれるのは1ファンとしても楽しみが増えて嬉しい限りですし、だからこそ他の活動をする意義が感じられて良いことです。
ジャニーズWEST 「Mixed Juice」
2022年の上半期もSixTONESやKAT-TUNなどいくつかのジャニーズグループがアルバムをリリースしましたが、個人的に1番sなさったのがジャニーズWESTの今作です。
前作がメンバーひとりひとりにスポットを当てていた前作に対して今作は7人としてのグループにフィーチャーしていて、楽曲提供者の顔ぶれも個人的にどストライクでとにかく刺さる要素の多い今作です。
シングル曲である楽曲提供あいみょんというもう間違いないサムシング・ニューは7人の声の良さをしっかりと堪能できます。
しらんけどはシティポップ調なクールなサウンドからしらんけどを連発するオシャレさとユーモアを両立させたウエストならではの1曲。
スカを踊りたくなるようなロックナンバー喜努愛楽はポジティブなパワーに溢れ、Anything Goesはファンキーに7人が代わる代わる声を届けてくれるパーティソングでとにかく楽しくなれる曲が詰まっています。
黎明はリリースされたときからぶっ刺さりだったウエストのバラード曲でも個人的トップの曲でもう収録されているだけで良いというやつです。
そして再度のSUPER BEAVER柳沢亮太提供のラストの曲つばさはもちろんビーバーらしさはありバンド好きに刺さるような音を感じるものの、しっかりとウエストのサウンドになっており、なによりその声の強さを再確認できます。
個人的には初期からウエストは歌唱力もある良いグループだったとは思いますが、最近はさらに次のステージに向かっているように感じます。近いうちに大化けするのではないかと期待しています。
お気に入りアルバム海外盤
お次は海外ですが、ちょっと個別にやっていくと数が多いのもあって文字数きついので、海外盤はサラッとやっていきます。
紹介するのは以下の15枚です。
- NORTHLANE 「Obsidian」
- Malevolence 「Malicious Intent」
- Motionless in White 「Scoring The End Of The World」
- Memphis May Fire 「Remade In Misery」
- Caliban 「Dystopia」
- Wolves At The Gate 「Eulogies」
- Hollow Front 「The Price Of Dreaming」
- UNDEROATH 「Voyeurist」
- Ibaraki 「Rashomon」
- Astronoid 「Radiant Bloom」
- RAMMSTEIN 「Zeit」
- Modern Error 「Victim Of A Modern Age」
- Bloodywood 「Rakshak」
- KOЯN 「Requiem」
- Becko 「You Are (Not) Alone」
まずはNORTLANEのObsidianです。
オーストラリア発のモダンプログレッシブメタルバンドの4thアルバムで、今作はさらにインダストリアル感が強くなりましたね。
個人的にめちゃくちゃ好みの音楽性で、正直彼らの作品の中でも1番の作品になったんじゃないかなと思っています。
続いてMalevolenceのMalicious Intentです。
イギリス発のメタリックハードコアバンドで、メタリックなリフを鳴らしつつもグチャッとしたサウンドやビートダウンなどハードコア要素もしっかりと入っていて。
個人的にハードコア要素が強すぎるのはちょっと苦手なので、Malevolenceのサウンドはちょうどいい感じですごく好みですね。
アメリカのインダストリアル・ゴシックメタルコアバンドのMotionless in WhiteのScoring The End Of The Worldは今作でさらにインダストリアル感が濃くなり、電子的なサイバーな雰囲気が強まりました。
一方で楽曲の幅も広がっており、やっぱり特筆すべきはKnocked LooseのBryan GarrisをフューチャリングしたSlaughterhouseですね。かなりハードコア色が強く、こんなアプローチもしてくるのなどかなり衝撃を受けました。
もともと人気のあるバンドですが、こうやって新しい方向性を打ち出してくれるのは流石だなぁともいますね。
アメリカのメタルコアバンドMemphis May FireのRemade In Miseryは、初期のサザン・ロック感はかなり薄くなりましたが、全体的にどの曲もクオリティが高い単純にレベルの高い作品になっています。
収録曲の半分以上が先行曲で占められており全体的な統一感や新鮮味に欠けるかなと思いましたが、そこを超えてくる良い作品でしたね。
ドイツのメタルコア御三家CalibanのDystopiaも、今作もしっかりと時代に合わせたモダンなメタルコアをしていて単純にクオリティが高い作品です。
グルービーなリフや分厚いシンガロングできるコーラスなど、わかりやすく気持ちのいいメタルコアをしてくれていて方向性はどんどん変わっていくものの安心して聴けますね。
アメリカ発のWolves At The GateのEulogiesは、これまでのポストハードコア的な雰囲気からかなり男臭さのあるメタルコアになっています。
ただ暑苦しいだけというわけではなく、エモーショナルなクリーンも健在でもともとの持ち味を残しつつメロディックなメタルコアになっていてすごく好印象です。
アメリカの叙情系メタルコアバンドHollow FrontのThe Price Of Dreamingは、キャリア最大級の叙情溢れる作品に仕上がっています。
いたるところに泣きが詰め込みまくられた、これからの飛躍を間違い無いと感じさせる1枚ですね。
アメリカのスクリーモバンドUNDEROATHのVoyeuristは、スクリーモ的な疾走が減退した一方で復活以降取り入れられていたインダストリアル要素が今作ではさらに強まっています。
ただ、スクリームにしろクリーンにしろ声だけでスクリーモになっているのはもうベテランバンドのさすがなだと思えるところです。
ピックアップしたいのはやはりラッパーGhostemaneをフューチャーしたCycleですね。インダストリアル要素と、トラップメタル的なアプローチとが組み合わさった意欲あふれる1曲です。
アメリカのヘヴィメタルバンドTRIVIUMのフロントマンであるMatthew Kiichi HeafyのサイドプロジェクトIbarakiのRashomonは、日本人にこそ聴いてほしい作品となっています。
日本にもルーツのあるMatthew Kiichi Heafyならではとも言える、日本の伝承をモチーフにしたブラックメタルに仕上げられており、和風な音階を取り入れつつもエクストリームなメタルを鳴らしています。
ここまでキイチくんのスクリームを聴くのは久々ですが、クリーンも入っているのでかなり聴きやすい作品になっていますね。
アメリカのポストメタルバンドAstronoidのRadiant Bloomは浮遊感の気持ちいいプログレッシブ/ポストメタルな作品になっています。
アトモスフェリックな浮遊感のあるサウンドにブラックメタル的なトレモロリフなども取り込まれて、ブラックゲイズやポストブラックの新しいアプローチだなと感じさせます。
壮大なスケールを持った、素晴らしいポストブラックのその先を思わせられる1枚ですね。
ドイツのレジェンドバンドRAMMSTEINのZeitは、もはや言うこともない安定の1枚です。
今となっては間違いのない個性となった軍歌的なリズム感やインダストリアルサウンドは錆びつかないというか、現代においてもその存在感はさすがですね。
Modern ErrorのVictim Of A Modern Ageはかなりインダストリアル感の強いサウンドで、個人的な好みにぶっ刺さりました。
オルタナメタル的なサウンドでほとんどクリーン主体でエクストリームさはないものの、聴きやすくかつわかりやすいかっこいい電子音に仕上がっています。
フジロックでの来日も決まっているインドのメタルバンドBloodywoodのRakshakは、縦ノリ感の強いバウンシーなニューメタルサウンドとインドの民族音楽の合わさった異色なメタルを鳴らしています。
こういった民族音楽とメタルのかみ合わせの良さってほんとに素晴らしいものがあって、こういった音楽性が出てくるのがやっぱりメタルの良いところだなぁって思うんですよね。
アメリカのレジェンドニューメタルバンドKOЯNのRequiemは、ニューメタルリバイバルが起こりニューメタルコアを鳴らすバンドが数多登場してくる中で王者の風格を見せつけるというか、本気出せばこんなもんですよという1枚です。
色々な音楽性に手を出してきたKOЯNですがなんやかんやでニューメタルを鳴らしたら現代においても右に出るものがいないですね。本当に素晴らしい作品ですね。
イタリアのポストハードコアバンドHopes Die Lastに所属していたBeckoのソロ作品You Are (Not) Aloneは、オタクコアなどと呼ばれ日本でも注目されました。
新劇場版エヴァンゲリオンのサブタイトルをモチーフにしていると思われるアルバムタイトルや、Kawaiiメタル的なアプローチなど日本発送のサウンドを海外から逆輸入されてくるようですごく面白い作品だなと思います。
まとめ
今年は本当にいい作品ばっかで、書きたいことが多くなりすぎてしまいました。
とりあえずなんとかまとめられたので良かったと思います。
2022年はいろんなフェスの開催や、来日公演なども増えてきたのでこのまま盛り上がっていってほしいですね。
以上、2022年上半期のお気に入りのアルバム35選を紹介します!でしたー!それではまた-!